激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「邪魔すると容赦しない」
 言い切るミカの横を絵麻が走り抜け、優奈にとりすがる。

「なにするのよ!」
「早く行ってください。紫緒さんを助けて!」
「わかりました」
 千暁たちはすぐに外に出て行く。

「画像をばらまくわよ!」
 優奈が叫ぶ。
「そしたら警察に行くから」
 絵麻は震えながら言う。

 絵麻の中には紫緒の言葉がリフレインしていた。

 自分を助けて。自分を苦しめないで。

 そんなことを言われたのは初めてだった。
 誰も助けてくれない、と思っていた。
 紫緒の言葉で、ようやく気付いた。

 それは自分も含めて「誰も」だった。
 自分すら、自分を助けようとはしていなかった。
 今はもう気付いた。だから……。

「生意気な!」
 優奈が怒鳴り、絵麻はビクッと震える。
 だが、その手は決して優奈を離さなかった。
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