激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない

***

 千暁がバイクを降りてヘルメットを脱ぐと、黒塗りの車がドリフトしながら止まった。
 ミカがさっそうと降り立つ。
 後部座席のドアが開き、大晴と律がよろよろと降りた。

「二度とコイツの車には乗らない」
 大晴が弱々しく呟く。
 律は黙って座り込んでいた。

 バンの後部ドアが開き、竜介たちが降りる。車内には紫緒だけが残された。

「彼女を返してください」
 竜介は千暁を鼻で笑った。
「おい、遊びの時間だぞ!」
 彼が声をかけると、奥からぞろぞろと若い男たちが現れた。鉄パイプやバット、ナイフを持っている者もいる。彼らは威嚇しながら千暁たちを取り囲んだ。その数、ざっと二十。

「これまた雑魚がたくさん。こっちの戦力は二人」
 ミカが口の端を歪めて笑った。
「上等です」
 千暁は日本刀を律にあずけた。

「せっかくの武器を、いいのか?」
「素手で充分です」
 動揺も見せない千暁に、ミカはにやりと目を細めた。



 彼らは雄たけびを上げながら襲いかかってきた。
 千暁とミカはお互いに背を預け、彼らに向かう。

 千暁は振り下ろされるバットを避け、手刀を彼の首に見舞う。と、それだけで彼は崩れ落ちた。
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