激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
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千暁がバイクを降りてヘルメットを脱ぐと、黒塗りの車がドリフトしながら止まった。
ミカがさっそうと降り立つ。
後部座席のドアが開き、大晴と律がよろよろと降りた。
「二度とコイツの車には乗らない」
大晴が弱々しく呟く。
律は黙って座り込んでいた。
バンの後部ドアが開き、竜介たちが降りる。車内には紫緒だけが残された。
「彼女を返してください」
竜介は千暁を鼻で笑った。
「おい、遊びの時間だぞ!」
彼が声をかけると、奥からぞろぞろと若い男たちが現れた。鉄パイプやバット、ナイフを持っている者もいる。彼らは威嚇しながら千暁たちを取り囲んだ。その数、ざっと二十。
「これまた雑魚がたくさん。こっちの戦力は二人」
ミカが口の端を歪めて笑った。
「上等です」
千暁は日本刀を律にあずけた。
「せっかくの武器を、いいのか?」
「素手で充分です」
動揺も見せない千暁に、ミカはにやりと目を細めた。
彼らは雄たけびを上げながら襲いかかってきた。
千暁とミカはお互いに背を預け、彼らに向かう。
千暁は振り下ろされるバットを避け、手刀を彼の首に見舞う。と、それだけで彼は崩れ落ちた。