激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「出すまでもないかと思ったんだが」
 ミカは懐に手を入れ、するりとそれを抜き出した。

 直後、撃つ。
 銃弾は正確に竜介の右肩を撃ち抜き、彼は銃を取り落とした。

「いてえええ!!」
 竜介は右肩を押さえてうめく。
 ミカが手にしていたのはイタリア製の拳銃、ベレッタだった。

「やっぱり日本は平和だなあ。いちいち警告して威嚇してくれるんだから」
 嘲笑を浮かべ、ミカは言う。
「それは」
 千暁もまた驚きを隠せないでいた。

「外交官特権の一つに荷物検査の免除がある。持ち込むなんて簡単だよ」
 あっさりとミカは言った。
 ミカは大股で彼に近付く。

「紫緒をひどい目に合わせようとした。拉致だけでも万死に値する」
 ミカは照準を男の額に合わせる。

「や、やめろ、撃つな!」
「お前は僕たちを殺そうとしたくせに?」
 ミカは引き金に力をこめる。
「やめてください」
 千暁が言う。

「僕ならこいつを殺しても罪に問われない」
「やめろ、やめてくれ」
 竜介は逃げようとして、足がもつれて倒れ込む。
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