激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「お前、何人も苦しめてきただろ。その人たちも言ったはずだ。やめてくれ、と。お前はやめたのか?」
「当然だ!」

「日本では嘘つきは死後に地獄で舌を抜かれるんだよねえ。閻魔さまによろしく」
 ミカは引き金を引いた。

 銃弾は竜介の側頭部をかすめ、彼はショックで気絶した。
 千暁は大きく息を吐いた。

「本当に殺すのかと思いました」
「それでもいいけど」
 振り返ったミカは、そのまま千暁に銃口を向ける。

「ついでに決着をつけようか。紫緒を賭けて」
 笑うように言うその目は笑っていない。
 千暁はまっすぐにその目を見つめ返した。

***

 紫緒が必死にドアを開けたとき、二発目の銃声が響いた。
 はっとしてそちらを見ると、竜介が血を流して倒れていた。
 その後、なぜかミカが銃を千暁に向けている。

「なにしてるの!?」
 大声を出したつもりだったが、声はかすれて小さかった。

「紫緒さん!」
 千暁が声を上げ、紫緒に駆け寄り、支える。
 ミカは苦々しくそれをにらむ。

 律は落ちていたヒモで竜介の肩を縛り、止血した。
 大晴が千暁に駆け寄る。

「紫緒さんを頼みます」

 大晴に紫緒を託し、千暁は銃口が向くのもかまわずミカの前に出て彼を見据える。
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