激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「無事か?」
 大晴に聞かれ、紫緒は頷く。

「大丈夫。それより、どうして二人が」
「それはオレもわからない」
 紫緒はよろよろと歩いて二人の前に出た。
 ミカはいったん銃を下ろした。

「やめて、ミカ」
「紫緒、待ってて。すぐに決着をつけるから。勝てば君は僕のものだ」
「ダメよ、やめて!」
 紫緒はできる限りの声で叫ぶ。

***

「この勝負、受けて立ちます」
 千暁が答え、手を伸ばす。
 律は歩いて来て日本刀を千暁に渡した。

「そんなもので銃に勝てるとでも?」
「勝てます」
 千暁は断言する。

「なにを言ってるの!?」
 律はそのまま紫緒を引きずるように二人の前からどかす。

「二人の勝負、見守ってあげよう」
「ダメよ!」
 銃と刀なんて勝負にならない。銃が有利過ぎる。
 前に出ようとする紫緒の肩を大晴がつかんだ。

「なんで」
 止める相手が違う。止めるべきはあの二人なのに。
< 222 / 241 >

この作品をシェア

pagetop