激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「僕たちが戦うとどちらかが死ぬだろうな。それでは紫緒が悲しむ。だから、こういう勝負はどうかな」
 ミカが言う。千暁は沈黙によって続きを促した。

「以前、動画を見たよ。日本刀対銃弾。銃弾を刃に撃つと、真っ二つだった。普通の日本刀だったよ。だから、それにしよう」
「私が銃弾を切ったら勝ちですか?」
「そう」
 ミカは銃を構え、言う。

 紫緒は青ざめた。
 やはりミカが圧倒的に有利だ。しかも、ミカがまっとうに勝負をするかはわからない。銃口をちょっと動かすだけで、彼はたやすく命を奪えるのだ。

「やめて」
 紫緒がもがくが、大晴は離してくれず、律もどかない。
「彼らは覚悟してるんだよ。だから、見守ってあげて」
 律が優しく言う。

「なにを言ってるの」
 大晴を見るが、彼はただ頷くだけだった。

「なんで? なんで理解しあってるの!?」
 彼らはいつのまに理解しあったのか。それとも男性だけのなにかがあるのだろうか。

「私、ミカと結婚する。だからやめて!」
 叫んだ直後、ミカは顔を歪めた。

「コイツのためならなんでもするんだ。コイツが好きなんだね」
「違うわ」

「ますます許せない」
 ミカはぎりっと奥歯を噛み締め、銃口を千暁の心臓に向けた。
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