激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「撃つよ」
 言った直後、発砲した。
 轟音が響いた刹那に天井からぱらぱらとホコリが落ちて来る。

「弾丸の速度は秒速300から400メートル。斬れそうかな?」
 ミカは挑発的に笑う。
「斬れる」
 千暁は一言で応じる。

「やって見せて」
 ミカは銃を千暁に向ける。

 紫緒は息をのんで見守った。
 紫緒の目には銃弾なんてまったく見えなかった。

 本当に千暁は斬れるのだろうか。
 紫緒たちが見つめる中、ミカと千暁がにらみあう。

「カウントダウンしてあげるよ」
 ミカが言い、千暁は無言で応じる。

「10、9、8、7」
 ミカが一定のリズムを刻む。

「6,5、4」
 千暁はミカから視線をはずさない。
 ミカは引き金にかかる指に力をこめる。

「3、2、1」
 全員が見つめる中。

「ゼロ」
 銃弾が轟音とともに放たれた。
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