激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
『失礼します、ミカロユス様』
五十代と思われる白髪まじりの外国人の男性が声をかけてきた。ミカと同じ外交官だろうか。彼の祖国の言葉らしくて、紫緒にはなにを言っているのかわからなかった。
声をかけられたミカはぎろっと男をにらむ。男はびくっと体を震わせた。
甘やかだったミカの目が急に冷淡になったことに、紫緒はたじろいだ。
『あちらの方がミカロユス様をお待ちです』
男の声は若干のおびえがあった。
『すぐに行く』
ミカが同じく祖国の言葉で答えると、男はほっとしたように下がった。
「ごめん、紫緒、行かないと。連絡先を教えて」
ミカから険しさが消え、残念そうに眉が下がった。
「うん」
紫緒はすぐにスマホを出して連絡先を交換した。
「必ず連絡するからね」
ミカは甘く微笑する。
「うん」
ミカは名残惜しそうに手を振って紫緒から離れる。
懐かしい友達との再会に、紫緒の心ははずんだ。
だから、離れたところから詠羅が紫緒を睨んでいることにはまったく気が付かなかった。
結局、パーティーの最中に詠羅の婚約が発表されることはなかった。
それを不思議には思ったが、どうしてなのか確認するすべはないし、確認したいとも思わなかった。
五十代と思われる白髪まじりの外国人の男性が声をかけてきた。ミカと同じ外交官だろうか。彼の祖国の言葉らしくて、紫緒にはなにを言っているのかわからなかった。
声をかけられたミカはぎろっと男をにらむ。男はびくっと体を震わせた。
甘やかだったミカの目が急に冷淡になったことに、紫緒はたじろいだ。
『あちらの方がミカロユス様をお待ちです』
男の声は若干のおびえがあった。
『すぐに行く』
ミカが同じく祖国の言葉で答えると、男はほっとしたように下がった。
「ごめん、紫緒、行かないと。連絡先を教えて」
ミカから険しさが消え、残念そうに眉が下がった。
「うん」
紫緒はすぐにスマホを出して連絡先を交換した。
「必ず連絡するからね」
ミカは甘く微笑する。
「うん」
ミカは名残惜しそうに手を振って紫緒から離れる。
懐かしい友達との再会に、紫緒の心ははずんだ。
だから、離れたところから詠羅が紫緒を睨んでいることにはまったく気が付かなかった。
結局、パーティーの最中に詠羅の婚約が発表されることはなかった。
それを不思議には思ったが、どうしてなのか確認するすべはないし、確認したいとも思わなかった。