激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
 週が明けて出社した紫緒は、すぐさま美悠につかまった。
「レセプションどうだった?」
 美悠には恋人を連れて行くはめになったと伝えてあったから、心配してくれたのだ。
 あらましを伝え、幼馴染と再会したことも話した。

「やだ、恋の予感。このままイケメン神主ルートか……外交官ルートも捨てがたい」
「なに言ってるのよ」
 今度は紫緒が苦笑した。

「でもご令嬢が大人しくなるとも思えないから気を付けて」
「ボーナス入ったし、退職届の書式は確認したから」
 軽口を返すと美悠は苦笑した。

「ちょっと」
 声をかけられ、ぎくっとした。この声は。
 おそるおそる振り向くと、詠羅がいた。

「昨日の彼、なんでつきあってんのよ!」
「神社に参拝に行ったときに、一目惚れしたって言われて」
「ありえない! 外交官とも知り合いみたいだし、なんなの!? どうせ偽彼氏でしょ。私に紹介しなさい。彼には私みたいなセレブがふさわしいのよ!」

「エセレブが」
 ぼそっと美悠が呟くと、詠羅はぎっと彼女をにらんだ。
「無理です。恋人をほかの女性に紹介なんて」
 矛先が美悠に向く前に、紫緒は慌てて言った。
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