激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「私たち友達じゃないの」
 にたりと笑う詠羅に、紫緒は顔をひきつらせた。
 いつも自分をいびり、ときにはおもちゃにしているのに。

「無理です」
 重ねて言うと、詠羅はチッと舌打ちをした。
「もういいわ。パパに頼むから」
 ふん! と詠羅は踵を返して去っていく。

「うわあ、そうとうのイケメンなのね」
「芸能人がかすむくらい」
「ということは、雰囲気イケメンは捨てられた?」
「婚約発表はなかったけど……」
「あの二人、交際宣言はしてないのよねえ。この先どうなるのか」
 紫緒と美悠は顔を見合わせて苦い笑いをかわした。



 夕方、紫緒は課長に小会議室に呼び出された。
 紫緒は不安になりながら課長と向かい合わせに座る。
「ご令嬢になにかした?」
 険しい顔で言われ、紫緒の頬がひきつった。

 むしろ自分が嫌がらせをされる一方だ。フロアの全員が知っている。課長が知らないわけがない。
「社長から陸里さんをクビにするように言われたよ」
「なぜですか!?」

「ご令嬢の領収書を断ってばかりだから、仕事の妨害だと」
「ホストクラブの領収書なんて通せませんよね!?」

「当然だろ」
「だったら!」
 紫緒は体を乗り出す。
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