激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない



 翌日からさっそく仕事だった。
 朝は袴姿の千暁が迎えに来てくれた。
 どきどきしながら一緒に隣の神社へ向かう。
 社務所には彩陽がいた。巫女装束が似合っていて気高い美しさがあった。

「姉さんが着付けを教えてくれるから」
「はい!」
「声が大きいですよ。神社では厳かに、静かに声を発してください」
「はい……」
 紫緒は緊張して答えた。

「最初は大変かもしれませんが、慣れるまでですよ」
 千暁が言い添える。
「こちらへ」
 紫緒は緊張しながら彩陽に続いた。



 着替えすらも緊張した。
 最初に髪を結んだ。
 肌着を着てから襦袢を着て白衣を身に着ける。白衣は普通の着物のように見えた。その帯もまた白い。袴は濃い緑で、行燈袴(あんどんばかま)だった。

 先に前側を持ち上げて腰の後ろで紐を結び、その後、後ろ側を持ち上げて紐を結ぶ。そうするとスカート状になった。
 着替えを終えた紫緒は、彩陽に髪飾りを渡された。ワンタッチでつけられるようになっていて、白い紙を結んだようなデザインだった。彩陽がつけている物とは違っていた。
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