激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
紫緒は翌日さっそく、巫女装束の着方がわからなくなった。
困っていると、紗苗と絵麻が出勤してきた。
「すみません」
声をかけると、二人はきょとんと紫緒を見た。
「着方がわからなくなっちゃって……」
「いいわよ、教えてあげる」
紗苗は紫緒に丁寧に教えながら着させてくれた。
「最初って、わからなくなりますよね。私もそうでした」
絵麻が自身の装束を身に着けながら言う。
「覚えないといけないこともたくさんあって大変です」
紫緒はため息交じりに言った。
「でもどんなに頑張っても三十歳くらいで引退なのよね」
「そうなんですか!?」
紫緒は驚きの声をあげた。
「私たちは高卒で入って五年目。二十三だからあと七年は働けるかな」
紗苗が言う。
「なかなか新人を採用しなかったから三十歳になっても彩陽さんが頑張ってくださってたけど、紫緒さんが入ったし、来年あたり引退かな」
「なんで採用しなかったんでしょう」
「権宮司狙いの人がたくさん応募してきちゃって。テレビでイケメン神主って紹介されたせいで参拝客が増えて混乱したときもあったわ。それ以来テレビの取材は断ってるって」
権宮司は千暁のことだ。
困っていると、紗苗と絵麻が出勤してきた。
「すみません」
声をかけると、二人はきょとんと紫緒を見た。
「着方がわからなくなっちゃって……」
「いいわよ、教えてあげる」
紗苗は紫緒に丁寧に教えながら着させてくれた。
「最初って、わからなくなりますよね。私もそうでした」
絵麻が自身の装束を身に着けながら言う。
「覚えないといけないこともたくさんあって大変です」
紫緒はため息交じりに言った。
「でもどんなに頑張っても三十歳くらいで引退なのよね」
「そうなんですか!?」
紫緒は驚きの声をあげた。
「私たちは高卒で入って五年目。二十三だからあと七年は働けるかな」
紗苗が言う。
「なかなか新人を採用しなかったから三十歳になっても彩陽さんが頑張ってくださってたけど、紫緒さんが入ったし、来年あたり引退かな」
「なんで採用しなかったんでしょう」
「権宮司狙いの人がたくさん応募してきちゃって。テレビでイケメン神主って紹介されたせいで参拝客が増えて混乱したときもあったわ。それ以来テレビの取材は断ってるって」
権宮司は千暁のことだ。