激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
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紫緒はミカと駅で待ち合わせた。
改札の前で待っていると、電車から降りて来た人たちがどっと流れて来た。
ミカはすぐにわかった。現れた彼はまるでモデルのようで、オーラが違った。
白地に淡く花模様が入ったシャツ、軽やかなデニムがさわやかだ。上質のエメラルドを思わせる緑の瞳は今はサングラスに隠れていて、淡い金髪は緩やかに流れて彼を輝かせる。
「お待たせ!」
彼はサングラスをはずして人懐こい笑みを浮かべた。
「今日は鎌倉に行こうね!」
「それなら最寄り駅で待ち合わせたほうが良かったんじゃない?」
「せっかくのデートに現地集合はないでしょ。行こ!」
ミカははしゃいで紫緒の手をとる。
昔通りの無邪気さに、紫緒は自然と笑顔になっていた。
二人で電車に乗って席に座る。
ミカは紫緒のこれまでを聞きたがり、彼女は聞かれるままに話した。
大学まで行って就職した平凡な人生だ。
会社をやめたのは、嫌気が差したから、とだけ伝えた。
巫女になったことはスカウトされたからだと教えた。
「それにしても、ミカちゃんとまた会えるなんて、すごい嬉しい」
「僕も嬉しい……けど「ちゃん」はやめてほしい」
「じゃあ、ミカさん?」
ミカはぷっと噴き出した。