激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「巫女なんてやめてすぐに僕と結婚しよう。そしたら生活の心配なんていらないし、一緒にいられる」
「話が飛躍しすぎだよ」
 紫緒は苦笑した。

「前はずっと一緒にいたいって言ってくれたのに」
「子供のころでしょ」
 紫緒はまた苦笑した。
 ミカは納得のいかない顔をして、紫緒を見つめる。

「ちょ、近いよ」
 逃げようとする紫緒の耳に、ミカは囁く。
「なに?」
 聞き取れなくて、紫緒は聞き返した。

「僕の国の言葉」
 そうしてまた囁く。

『愛してる。必ず僕のものにする』

 彼の国の言葉だから、紫緒はまったくその内容がわからない。

「ごめん、日本語でお願い」
「また会おうね、ってこと」
 ミカはいたずらっぽく紫緒の顔を覗き込む。
「うん、また会おう」
 紫緒はにこっと笑みを返した。



 ミカは乗り捨てできる車をレンタルして紫緒の住居まで送ってくれた。
 一人で帰れると主張したが、夜道は危ないと言ってミカが譲らなかった。
 帰路でも楽しく話をしていたから、あっという間についてしまった。
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