激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
千暁は手を止めて、律と、抱えられた紫緒を見る。
千暁は木刀を地面に置くと、つかつかと歩み寄って来た。
「これはどういうことだ?」
千暁が敬語じゃない、と紫緒は驚いた。律が幼馴染の友人だからだろうか。
「靴擦れが痛いっていうから」
律はそっと紫緒を下ろした。
「ごめんなさい。ありがとうございます」
「いいよ。俺こそありがとう。今日は楽しかったし、久しぶりに食事を美味しいと思えた」
「どうして二人で」
千暁が訝しむ。
「彩陽さんが、私の気晴らしにって阿辺野さんに頼んでくれたんです」
「姉が……」
千暁は顔をくもらせた。
「悪い、律。手間をかけさせて」
「いいよ。いつもお世話になってるし」
「……それから、彼女は私とつきあってるから」
千暁の言葉に、紫緒は驚いて彼を見る。
「そっか……そうなんだ」
律はうつむいた。
「あとは私が」
「……うん。じゃあね」
律はそう言って帰って行った。
その寂しげな背を見送ってから、紫緒は千暁を見る。
千暁は木刀を地面に置くと、つかつかと歩み寄って来た。
「これはどういうことだ?」
千暁が敬語じゃない、と紫緒は驚いた。律が幼馴染の友人だからだろうか。
「靴擦れが痛いっていうから」
律はそっと紫緒を下ろした。
「ごめんなさい。ありがとうございます」
「いいよ。俺こそありがとう。今日は楽しかったし、久しぶりに食事を美味しいと思えた」
「どうして二人で」
千暁が訝しむ。
「彩陽さんが、私の気晴らしにって阿辺野さんに頼んでくれたんです」
「姉が……」
千暁は顔をくもらせた。
「悪い、律。手間をかけさせて」
「いいよ。いつもお世話になってるし」
「……それから、彼女は私とつきあってるから」
千暁の言葉に、紫緒は驚いて彼を見る。
「そっか……そうなんだ」
律はうつむいた。
「あとは私が」
「……うん。じゃあね」
律はそう言って帰って行った。
その寂しげな背を見送ってから、紫緒は千暁を見る。