激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
 また、天照大御神が天岩戸に隠れた際に天鈿女命(あめのうずめのみこと)が舞ったものがルーツとも言われている。

 魂振りの舞と魂鎮めの舞があり、魂振りは活力を与えるもので、魂鎮めは肉体から離れようとする魂を肉体にとどめるものだ。

 巫女舞は時代とともに変遷し、祈祷や奉納のためのものになった。結婚式で舞われることが多いのは、神の恩恵に感謝する『豊栄(とよさか)の舞』と平和を祈願する『浦安の舞』だ。

 夏祭りで紫緒が舞うことになったのは倭舞(やまとまい)だ。
 元来は男性の舞いだが、現在では巫女が舞うことが多い。この神社では二人で、今回は紫緒と彩陽が舞う。

 拝殿で彩陽がスマホにスピーカーをつなげ、音源を流す。
 まずは彩陽が舞った。手に神楽鈴を持って舞う姿は優雅で美しかった。

 彩陽に許可を得て動画に撮った。これであとから参考にして練習できる。
 その後、つききりで舞い方を学んだ。
 裾を踏んで転んでしまい、彩陽に盛大にため息をつかれた。



 家に帰った紫緒はすっかりへとへとになっていた。
 スマホには毎日、ミカからメッセージが届いた。

 どんな仕事をしたとか、なにを食べたとか、たわいもないやりとりが、紫緒の癒しになっていた。

 美悠ともやりとりしている。
 巫女舞を学んでいると送ったら「紫緒が巫女舞ww」と草をはやされてしまった。
< 94 / 241 >

この作品をシェア

pagetop