終始不 -シュウシフ-
好きな人がいた。
中学3年生から高校卒業するまで、誰にも打ち明けないで、ずっと密かに想っている人がいた。
中3の時クラスが同じで、席が隣同士だった。
誰に対しても平等で、優しくて、面白くて。
憧れでもあり、本当に、大好きだった。
同じ高校を受験すると知った時は人生で一番勉強した。
彼も受かったと人伝に聞いた時は本当に嬉しくて、なんでも出来る気さえした。
進んだ分野が違ったから3年間同じクラスにはなれなかったけれど、それでも、廊下ですれ違った時、姿を見つけた時、笑い声が聞こえた時。
笑われるかもしれないけれど、それだけで毎日頑張れた。
高2の夏、彼に彼女が出来たと知った時は、3日くらいまともにご飯が食べられなかった。
だけど、諦めようとは思わなかった。
なにも求めていなかったし、好きでいられればそれで良かったから。