終始不 -シュウシフ-
「坂下さぁ、……彼氏おるん?」
「エッ?!お、おるわけないやん、おったら今日も行かへんよ」
「はは。そうやんな、よかった」
……その良かったは、なんの良かった?
ダメダメ。
これ以上期待したらダメ。
期待するにはまだ早すぎるって、脳の危険信号が騒がしく鳴っている。
「あ、そうや。坂下、奥山って覚えてる?」
「奥山くん?覚えてるよ。高3の時同クラやった」
「そーや、4組やったっけ?この間奥山の結婚式あって行ったんよ。でさ、コイツおもろすぎて、ちょ、写真見て」
青春時代をタイムスリップしたかのように、学生時代の積もった話をひたすら聞いて、ひたすら話して。
「ちょ、お腹いたい、古野おもろすぎ……」
「おい笑いすぎやって!なんもしてへんって俺」
「古野って何話してもおもろく感じるねん」
そうだ。私古野のこういうところが大好きだった。
席が隣だった時、毎日涙がでるほど笑わせてくれてた。
『坂下ツボ浅いから何しても笑ってくれるから気持ちーわ』
呆れたように、一緒に笑ってくれるところも好きだった。