終始不 -シュウシフ-




「奢ってもらっちゃってほんまごめん」

「いいって!坂下さっきから謝りすぎやって。そこで言う言葉って1個だけやで?ハイ問題。なんでしょう」

「……ありがとう!!!」

「いや声デカ。はは。どういたしまして」



あー。もうどうしよう。



「まだ20時か。ドライブでもする?」

「うん、運転お願いしますっ」

「まかせろ。車の運転は大得意や」



楽しくて、どうしよう。



「坂下、校歌今でも歌える?」

「えーと、……中学なら歌える」

「マジ?おもろ、歌ってや」

「ええ、えっと〜、♪♩〜なんちゃら〜みたいな」

「しぬ、何その歌。ちょ、YouTubeあるんちゃん、調べてや」




思い出す。思い出してしまう。

純粋に好きだっただけのあの頃の気持ち。

なんでなの。

なんで10年経った今でも、こんなに好きにさせるの。



どうして好きだっただけの気持ちがこんなにも無くなってないの?




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