終始不 -シュウシフ-
◇
「奢ってもらっちゃってほんまごめん」
「いいって!坂下さっきから謝りすぎやって。そこで言う言葉って1個だけやで?ハイ問題。なんでしょう」
「……ありがとう!!!」
「いや声デカ。はは。どういたしまして」
あー。もうどうしよう。
「まだ20時か。ドライブでもする?」
「うん、運転お願いしますっ」
「まかせろ。車の運転は大得意や」
楽しくて、どうしよう。
「坂下、校歌今でも歌える?」
「えーと、……中学なら歌える」
「マジ?おもろ、歌ってや」
「ええ、えっと〜、♪♩〜なんちゃら〜みたいな」
「しぬ、何その歌。ちょ、YouTubeあるんちゃん、調べてや」
思い出す。思い出してしまう。
純粋に好きだっただけのあの頃の気持ち。
なんでなの。
なんで10年経った今でも、こんなに好きにさせるの。
どうして好きだっただけの気持ちがこんなにも無くなってないの?