わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
「魔獣討伐団の奴らだ。あれが副団長のジャコブ。お調子者だが、俺がいないときには団をまとめてもらっている」
 ユージーンがお調子者と言っただけあり、彼はユージーンが近づくまでずっと手を振っていた。茶色の髪の毛は、陽気に毛先が跳ねている。
 そんな彼の周囲には同じような軍服姿の男性が集まっているから、ここが魔獣討伐団に所属している者たちの集団なのだろう。
「お前たちに紹介しておこうと思ってな」
「団長、結婚おめでとうございます。オレたちに黙って結婚するなんて、冷たいじゃないですか。オレ、結婚の許可をした覚えはありませんよ?」
「なぜ、お前の許可がいる?」
「え? オレたち、独身同盟でしたよね? 代表が団長。副代表がオレ」
「そんな同盟は知らんし、代表になった記憶もない」
 このようにくだけたユージーンの姿も初めて見た。ネイサンと軽口を叩く姿は目にしたことはあるが、それともまた違う。
 小突き合う様子など見たことない。
「クラリス?」
 名を呼ばれ、我に返ったクラリスはスカートの裾を持ち上げる。
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