わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
「お初にお目にかかります。クラリスです」
「こいつらにそんなに丁寧に挨拶しなくていい」
「団長、ひどい。はじめまして、奥様。魔獣討伐団の副団長を務めております、ジャコブ・コットンです」
 もしかしてコットン子爵家の子息ではないだろうか。あそこは、男児が五人いたと記憶している。
「お前も真面目な挨拶ができるんだな」
「団長、ひどい」
 そこで一斉に笑いが沸き起こる。
 なぜかわからないが、クラリスの気持ちもわくわくして、顔をほころばせた。
「うわ、奥様が笑った。やっぱり、超、美人じゃないですか。団長、ずるいです。オレを裏切った。それよりも魔獣討伐に明け暮れている団長が、どうやって奥様と知り合ったんですか? オレにもください。出会いを!」
 ぐいぐいとジャコブがユージーンに攻め寄り、ユージーンは一歩退く。するとジャコブはもう一歩詰め寄る。
「どうやって奥様と出会ったんですか!」
「あ、あぁ……そ、それはだな……」
 こんな慌てふためくユージーンも見たことない。まだ出会って数日なのだから仕方ないといえばそうなのだが。
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