わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
「少し、妬けたな」
 ぼそりと呟くユージーンが、どこか寂しそうにも見えた。
「旦那様?」
 視線が合った。彼は穴があくのではないかと思えるくらい、見つめてくる。そして、不意に唇を重ねてきた。
 いつものように、しつこくねっとりと濃厚に。
「……ん、ふっ」
 熱い口づけは、息苦しくなって頭がぼんやりとしてくる。
 すっと、ユージーンが唇を離す。
「やはり俺は、君と離婚するつもりはない」
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