わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
「君の弟、デリックが王都から離れられないらしい」
デリックは今、クラリスにかわってアルバートの毒見役を務めている。もちろん、表向きは王城で働く薬師である。薬師は王城に務める者たちのために、薬を作り与えるのが仕事だ。
しかし、毒師でもあるデリックは、アルバートの食事の毒見を行っている。特に、多数の者が集まるような茶会やパーティー、食事会など、そういったときにはさりげなく毒見を行う。
そのような催しものがない場合は、毒見としての仕事はない。アルバートの普段の食事にかかわっている人間は決まっているからだ。
だからデリックが王都を離れられないというのであれば、そういった催しものが頻繁に行われているのを意味する。
「アルバートが正式に婚約したからな。付き合いも増えたのだろうな」
「アルバート殿下もデリックも、大変ですのね」
クラリスは他人事のように口にした。ほんの数日前までは、王都に戻ってデリックとその役目を交代しようと思っていたはずなのに。
その事実に戸惑いすら覚える。
デリックは今、クラリスにかわってアルバートの毒見役を務めている。もちろん、表向きは王城で働く薬師である。薬師は王城に務める者たちのために、薬を作り与えるのが仕事だ。
しかし、毒師でもあるデリックは、アルバートの食事の毒見を行っている。特に、多数の者が集まるような茶会やパーティー、食事会など、そういったときにはさりげなく毒見を行う。
そのような催しものがない場合は、毒見としての仕事はない。アルバートの普段の食事にかかわっている人間は決まっているからだ。
だからデリックが王都を離れられないというのであれば、そういった催しものが頻繁に行われているのを意味する。
「アルバートが正式に婚約したからな。付き合いも増えたのだろうな」
「アルバート殿下もデリックも、大変ですのね」
クラリスは他人事のように口にした。ほんの数日前までは、王都に戻ってデリックとその役目を交代しようと思っていたはずなのに。
その事実に戸惑いすら覚える。