わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
「お前も相変わらず失礼な言い方をするな。まあ、仮に二人が違う人物だったとしても、国王陛下が命じたのは、この手紙の相手であるクラリス嬢なのだろう。噂の毒女、腰巾着とは違うかもしれん」
「ユージーン様のそういう前向きなところは大好きなんですけれども、僕としてはユージーン様に害をなすような人物を疑うのが仕事ですのでね」
「わかっている」
ネイサンが心配するのもわかっているつもりだ。
だが冷静に考えて、国王がユージーンに毒女と呼ばれるような女性との結婚を命じるだろうか。
ユージーンは国王に忠誠を誓っており、魔獣討伐団を国王からの命令によって動かしている。国王からみれば、都合のいい駒のはず。
それなのに、わざわざ変な女性をあてがうだろうか。どちらかといえば、ある程度、権力のある家柄の女性をすすめてくるのではないだろうか。
いや、ベネノ侯爵家はそれなりに名の知れた家柄だ。ベネノ侯爵本人は、騎士団の近衛騎士隊長だったはず。
「ユージーン様。そんなに悩まないでください。僕が悪かったです。僕だって、ユージーン様には結婚してもらいたいですよ。だって、ほら。ユージーン様ご自身もこの場所も、いろいろと特殊なわけですから」
今までだってまったく縁談の話がなかったわけではない。頻繁にあったわけでもないが、何回か話はあった。
「ユージーン様のそういう前向きなところは大好きなんですけれども、僕としてはユージーン様に害をなすような人物を疑うのが仕事ですのでね」
「わかっている」
ネイサンが心配するのもわかっているつもりだ。
だが冷静に考えて、国王がユージーンに毒女と呼ばれるような女性との結婚を命じるだろうか。
ユージーンは国王に忠誠を誓っており、魔獣討伐団を国王からの命令によって動かしている。国王からみれば、都合のいい駒のはず。
それなのに、わざわざ変な女性をあてがうだろうか。どちらかといえば、ある程度、権力のある家柄の女性をすすめてくるのではないだろうか。
いや、ベネノ侯爵家はそれなりに名の知れた家柄だ。ベネノ侯爵本人は、騎士団の近衛騎士隊長だったはず。
「ユージーン様。そんなに悩まないでください。僕が悪かったです。僕だって、ユージーン様には結婚してもらいたいですよ。だって、ほら。ユージーン様ご自身もこの場所も、いろいろと特殊なわけですから」
今までだってまったく縁談の話がなかったわけではない。頻繁にあったわけでもないが、何回か話はあった。