わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
だから婚約披露パーティーの件はきっかけに過ぎなかった。
「アル様。私、クラリス様にお似合いの殿方を知っておりますの」
ハリエッタの言葉に、クラリスの顔色がさっと変わった。
「なるほど、それはいい。さすが私のハリエッタだ」
「アル様にお褒めいただき、光栄ですわ」
ハリエッタが提案してきた男性は、クラリスの相手としてふさわしい。なぜ、今までその男の存在を忘れていたのか。
ユージーン・ウォルターは若くして辺境伯爵位を継いだ男であり、魔獣討伐団の団長を務めている。
今回の婚約披露パーティーの招待状を送ったものの、つい先日、どこかの街に魔獣が現れたという話を受け、魔獣討伐のために旅立った。それは国王の命令であるから、アルバートの婚約披露パーティーよりも優先度は高いものとなる。
また、そうやって領地を空けることも多く、社交の場から遠ざかっているため、いまだに独身。婚約者もいない寂しい男なのだ。
彼とは同じ師に剣術を仰ぎ、勉学に励んだ仲でもある。ユージーンも十五歳になる年までは王都で学んでいた。
しかし、世代の辺境伯である父親が亡くなったのを機に、彼は領地へと戻った。
それまでアルバートとユージーンは良き友で良きライバルであった。
「アル様。私、クラリス様にお似合いの殿方を知っておりますの」
ハリエッタの言葉に、クラリスの顔色がさっと変わった。
「なるほど、それはいい。さすが私のハリエッタだ」
「アル様にお褒めいただき、光栄ですわ」
ハリエッタが提案してきた男性は、クラリスの相手としてふさわしい。なぜ、今までその男の存在を忘れていたのか。
ユージーン・ウォルターは若くして辺境伯爵位を継いだ男であり、魔獣討伐団の団長を務めている。
今回の婚約披露パーティーの招待状を送ったものの、つい先日、どこかの街に魔獣が現れたという話を受け、魔獣討伐のために旅立った。それは国王の命令であるから、アルバートの婚約披露パーティーよりも優先度は高いものとなる。
また、そうやって領地を空けることも多く、社交の場から遠ざかっているため、いまだに独身。婚約者もいない寂しい男なのだ。
彼とは同じ師に剣術を仰ぎ、勉学に励んだ仲でもある。ユージーンも十五歳になる年までは王都で学んでいた。
しかし、世代の辺境伯である父親が亡くなったのを機に、彼は領地へと戻った。
それまでアルバートとユージーンは良き友で良きライバルであった。