わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
第七章:告白 x 告白
 クラリスがハリエッタのお茶会に誘われたのは、王都をあと二日で発つというときだった。
 ユージーンに相談してみると「いってきなさい」と穏やかに言う。
 初夜と呼ばれたあの日、結局彼とは同じ寝台で眠っただけである。あれだけのことを言ったユージーンだが、クラリスを抱くようなことはしなかったし、それ以降も文字通り、一緒に寝るだけ。
 王都にいる間、彼は騎士団のほうに顔を出し、魔獣討伐の実績について報告やら分析をしているらしい。だからクラリスを一人屋敷に残しているのを気にしていたようでもある。だから、ハリエッタの茶会に「いってきなさい」と言ったのだろう。
 そしてハリエッタは、すでに王城で暮らしているようだった。アルバートと婚約をして半年近く。さらにあと半年過ぎれば、二人は結婚式を挙げる。王太子妃となる彼女は、一年の婚約期間を経てからの結婚となる。
 婚約の先にあるのが結婚であるのはわかっているものの、婚約してから一年後に結婚と明確に決められていたから、ハリエッタはなかなか婚約に踏み切れなかったらしい。
 それでもアルバートとハリエッタの仲睦まじい様子は社交界でも噂となっており婚約まで秒読みと何年も前から言われていた。そしてそれを邪魔しているのがクラリス。
 しかし、やっとのことでアルバートとハリエッタが婚約し、クラリスがぱたりと社交界から姿を消したため、二人を取り巻く人の関係が変わっていく。
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