わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
「あの……クラリス様」
 ハリエッタが話題を変える。
「このようなことを尋ねていいのかどうかもわからないのですけれど。でも、私にはクラリス様しかこういったことを話せる相手がいなくて……」
 どちらかというと、ハリエッタは一歩引いて周囲を見回すような控えめで穏やかな女性なのだ。それでも自分の立場をわきまえているため、状況に応じて公爵令嬢といった立ち居振る舞いをする。
 その結果、社交界でも評判の高い人気の令嬢となった。
「わたくしでよければお聞きします。もうすぐウォルター領に戻ってしまいますし、ここで聞いた内容を話すような相手もおりませんから」
 社交の場に顔を出すつもりはないと遠回しに言ったつもりだが、どうやらその意図が伝わったようだ。
 ハリエッタは、安心したかのようにほっと息を漏らす。
「クラリス様は、雰囲気がおかわりになりましたよね」
「そうですか?」
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