わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
ユージーンは、結婚の前にクラリスの両親と顔を合わせたいようであったが、魔獣討伐から戻ってきたばかりのため、領地からなかなか離れられないらしい。クラリスとしては、結婚する時期が遅れれば遅れるほど王都にいられるわけだから、気長に待つつもりでいた。
けれども、そんな二人にしびれを切らした者がいる。もちろん、アルバートだ。また権力を使って、さっさとクラリスをウォルター領へと行くようにと命じてきた。なかなか領地を離れられないユージーンを思ってのことだと、もっともらしい理由をつけてきたアルバートでだが、さっさとクラリスを王都から追い出したかったにちがいない。
結婚式の日取りを決めるのはそっちのけで、まずは結婚誓約書にサインをしろと、そんな話であった。
クラリスの両親も、この機会を逃せばクラリスが結婚できないのではないかと思っているようで、アルバートの意見に賛成したのだ。
クラリスは外堀をすっかりと埋められてしまった。
そうと決まれば、母親が張り切って荷造りをする。あれも持ってこれも持って、ああでもないこうでもないと、楽しそうに勝手に荷造りをしていた。
そんなわけで、いったい何を荷物として持ってきたのか、クラリスは全部を把握していない。
けれども、そんな二人にしびれを切らした者がいる。もちろん、アルバートだ。また権力を使って、さっさとクラリスをウォルター領へと行くようにと命じてきた。なかなか領地を離れられないユージーンを思ってのことだと、もっともらしい理由をつけてきたアルバートでだが、さっさとクラリスを王都から追い出したかったにちがいない。
結婚式の日取りを決めるのはそっちのけで、まずは結婚誓約書にサインをしろと、そんな話であった。
クラリスの両親も、この機会を逃せばクラリスが結婚できないのではないかと思っているようで、アルバートの意見に賛成したのだ。
クラリスは外堀をすっかりと埋められてしまった。
そうと決まれば、母親が張り切って荷造りをする。あれも持ってこれも持って、ああでもないこうでもないと、楽しそうに勝手に荷造りをしていた。
そんなわけで、いったい何を荷物として持ってきたのか、クラリスは全部を把握していない。