わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
とにかく、メイに縁談が持ち上がったとしても、クラリスはそれを反対するつもりはない。メイが望むようにすればいい。
毒女と呼ばれるクラリスと違って、メイにはきっといい話がくるにちがいない。
むしろクラリスが毒女と呼ばれるように振る舞っているのは、縁談から逃げるためでもあった。だから、王都周辺を出入りするような男性からは避けられていたはず。
しかし、クラリスの噂は辺境にまで届かなかったのだろう。国王命令だからといって、条件付きでこの結婚を受け入れたユージーンがどのような人物であるのか。手紙のやりとりをしていたときから気になっていた。
「ウォルター辺境伯のユージーン様ってアルバート殿下からお名前だけは聞いたことがあったのだけれども、実際にお会いしたことはないのよね」
「殿下の婚約披露パーティーには出席されていなかったのですか?」
「ええ。殿下がおっしゃるには、魔獣討伐に駆り出されたようだって」
「たしか、魔獣討伐団の団長も務めていらっしゃるとか?」
「そうよ。国境の辺境だから、騎士団とは別に魔獣討伐団があるのよ。私兵を募って作られたと聞いているわ。たしか、先々代の辺境伯だったかしら? 今では国としても魔獣討伐団を認めておりますけれど」
「つまり、それだけ魔獣が身近にいるってことなんですよね」
メイの言葉にはっとする。
毒女と呼ばれるクラリスと違って、メイにはきっといい話がくるにちがいない。
むしろクラリスが毒女と呼ばれるように振る舞っているのは、縁談から逃げるためでもあった。だから、王都周辺を出入りするような男性からは避けられていたはず。
しかし、クラリスの噂は辺境にまで届かなかったのだろう。国王命令だからといって、条件付きでこの結婚を受け入れたユージーンがどのような人物であるのか。手紙のやりとりをしていたときから気になっていた。
「ウォルター辺境伯のユージーン様ってアルバート殿下からお名前だけは聞いたことがあったのだけれども、実際にお会いしたことはないのよね」
「殿下の婚約披露パーティーには出席されていなかったのですか?」
「ええ。殿下がおっしゃるには、魔獣討伐に駆り出されたようだって」
「たしか、魔獣討伐団の団長も務めていらっしゃるとか?」
「そうよ。国境の辺境だから、騎士団とは別に魔獣討伐団があるのよ。私兵を募って作られたと聞いているわ。たしか、先々代の辺境伯だったかしら? 今では国としても魔獣討伐団を認めておりますけれど」
「つまり、それだけ魔獣が身近にいるってことなんですよね」
メイの言葉にはっとする。