わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
「え、と。まあ、そうですけれども……他の場所に温室を用意するとユージーン様がおっしゃっておりましたので。少しの間だけこちらで我慢していただければ、と」
「そんな、我慢だなんて。わたくしはこの場所がとても気に入りました。早速、準備を始めてもよろしいでしょうか? あと、森の中にも入ってみたいのですが」
クラリスは右手でビシッと、木々がさわさわと揺れる森を指差した。見るからに太陽の光が届かないような、うっそうとした暗い場所。
「奥様。森は危険です。絶対に入らないでください」
「え、どうしてです? あそこは理想の場所です。王都にはなかった場所なのです」
「そうです。あのような危険な場所はここにしか存在しません。誰も近づかないようにと、ここで働く者たちにはきつく言ってあります」
それでもクラリスは、ネイサンをじぃっと見つめた。おもちゃをねだる子どものように「行きたい、行きたい、行きたい」と、その気持ちを視線で訴える。
「奥様。そのような顔をしても駄目なものは駄目です。王都と違って、ここは頻繁に魔獣が現れます。その魔獣に対抗するためか、生き物や植物が……」
「そんな、我慢だなんて。わたくしはこの場所がとても気に入りました。早速、準備を始めてもよろしいでしょうか? あと、森の中にも入ってみたいのですが」
クラリスは右手でビシッと、木々がさわさわと揺れる森を指差した。見るからに太陽の光が届かないような、うっそうとした暗い場所。
「奥様。森は危険です。絶対に入らないでください」
「え、どうしてです? あそこは理想の場所です。王都にはなかった場所なのです」
「そうです。あのような危険な場所はここにしか存在しません。誰も近づかないようにと、ここで働く者たちにはきつく言ってあります」
それでもクラリスは、ネイサンをじぃっと見つめた。おもちゃをねだる子どものように「行きたい、行きたい、行きたい」と、その気持ちを視線で訴える。
「奥様。そのような顔をしても駄目なものは駄目です。王都と違って、ここは頻繁に魔獣が現れます。その魔獣に対抗するためか、生き物や植物が……」