わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
「……ですが、僕の知っている薬師の中には、素手で毒蛇を捕らえるような人はいないんですよね」
「まあ、そうなのですね。慣れると簡単ですよ?」
クラリスは首を傾げて極上の笑みを浮かべてみた。たいてい、これで誤魔化せるのだが、ネイサンはそうでもないようだ。やはり目が怖い。
「なるほど。奥様が毒蛇に慣れていらっしゃるということがよくわかりました。もう一つの質問です」
まだ、あるの! と叫びたくなったクラリスだが、その言葉を呑み込んだ。
「な、なんでしょう?」
代わりに放った言葉はそれだったが、クラリスの心臓はドキドキと高鳴っている。ネイサンに何を言われるのか。
「奥様は、その毒蛇をどうするおつもりですか?」
「ドキ」
心の中で叫ぶはずだった言葉が、口に出た。それだけクラリスは動揺していた。心臓は先ほどよりも倍以上の早さで動いている。
「え、ええと、そう。裏の森に逃がそうと思っていたところです」
「ですが奥様。瓶の蓋をきつくしめましたよね? それでは蛇は死んでしまいます。逃がすのであれば、蓋をゆるめておきますよね」
ネイサンはなかなか鋭い観察眼の持ち主のようだ。
「まあ、そうなのですね。慣れると簡単ですよ?」
クラリスは首を傾げて極上の笑みを浮かべてみた。たいてい、これで誤魔化せるのだが、ネイサンはそうでもないようだ。やはり目が怖い。
「なるほど。奥様が毒蛇に慣れていらっしゃるということがよくわかりました。もう一つの質問です」
まだ、あるの! と叫びたくなったクラリスだが、その言葉を呑み込んだ。
「な、なんでしょう?」
代わりに放った言葉はそれだったが、クラリスの心臓はドキドキと高鳴っている。ネイサンに何を言われるのか。
「奥様は、その毒蛇をどうするおつもりですか?」
「ドキ」
心の中で叫ぶはずだった言葉が、口に出た。それだけクラリスは動揺していた。心臓は先ほどよりも倍以上の早さで動いている。
「え、ええと、そう。裏の森に逃がそうと思っていたところです」
「ですが奥様。瓶の蓋をきつくしめましたよね? それでは蛇は死んでしまいます。逃がすのであれば、蓋をゆるめておきますよね」
ネイサンはなかなか鋭い観察眼の持ち主のようだ。