わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
そもそもクラリスは蛇の動きを鈍くさせるために、瓶の蓋をきつくしめた。だからこのまま放っておけば、蛇は死ぬ。
「奥様!」
ネイサンが一歩近づいてきたので、クラリスは蛇を抱えたまま一歩下がる。
「その蛇をどうするおつもりですか!」
ネイサンがまた一歩近づく。
クラリスは必死で言い訳を考えた。本当のことを言っていいのかどうかがわからない。アルバートはユージーンに何を伝えたのか。ユージーンはどこまでネイサンに伝えているのか。
「実は、逃がすというのは嘘です。く、薬を作るのです。わたくし、薬師ですから」
恐らく、この答えが無難だろう。
「薬ですか? 毒蛇で?」
「そうです、そうです。毒を持つ蛇は、滋養にいいとも言われておりまして。お酒なんかもありますよね」
毒蛇を酒につける蛇酒なるものは存在する。その場合は、蛇に食べ物を与えずに、蛇の体内をきれいにする必要があるため、すでに蛇を虫の息にしている今は、手順が異なっている。
「先ほども言いましたように、わたくし、表向きは薬師として王城におりましたから」
「奥様!」
ネイサンが一歩近づいてきたので、クラリスは蛇を抱えたまま一歩下がる。
「その蛇をどうするおつもりですか!」
ネイサンがまた一歩近づく。
クラリスは必死で言い訳を考えた。本当のことを言っていいのかどうかがわからない。アルバートはユージーンに何を伝えたのか。ユージーンはどこまでネイサンに伝えているのか。
「実は、逃がすというのは嘘です。く、薬を作るのです。わたくし、薬師ですから」
恐らく、この答えが無難だろう。
「薬ですか? 毒蛇で?」
「そうです、そうです。毒を持つ蛇は、滋養にいいとも言われておりまして。お酒なんかもありますよね」
毒蛇を酒につける蛇酒なるものは存在する。その場合は、蛇に食べ物を与えずに、蛇の体内をきれいにする必要があるため、すでに蛇を虫の息にしている今は、手順が異なっている。
「先ほども言いましたように、わたくし、表向きは薬師として王城におりましたから」