わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
第四章:辺境伯 x 毒女
 ユージーンがクラリスの部屋へやって来るらしい。だけど、待てども待てどもなかなかやって来ない。
 そうこうしているうちに、メイが湯浴みの準備ができたと呼びにきた。
 なぜかいつもより念入りに磨かれる。
 フラミル城で働いている使用人は、クラリスにとても好意的である。初日にエイベルとリサを毒蛇から助けたのがきかっけだったのかもしれない。
 クラリスとしては、フラミル城にやってきて早々、毒蛇を捕まえられたことに歓喜を覚えた。クラリスにとって、毒は必要不可欠なもの。
 だからアルバートの側を離れてしまったため、どうやって毒を手に入れようかと悩んでいたところでもあったのだ。しかし、ウォルター領には豊富に毒があった。
 ネイサンに聞けば、昔からその毒に悩まされている領民も多いらしい。さらに、ときおり出現する魔獣たち。
 ウォルター領の魔獣討伐団は、毒から領民を守り、魔獣から国を守るという役を担っている。さらに、国境であることから隣国との関係を見張る必要もあった。
「奥様、おきれいですわ」
 メイをはじめとする侍女たちに徹底的に磨かれ、薄手のナイトドレスを着せられた。寝るだけであるはずなのに、髪もゆるくまとめられる。
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