顔が良い妹の方が相応しいと婚約破棄したではありませんか。妹が無能だったなんて私の知ったことではありません。
24.許してもらうために(モブ視点)
「……その、ルルメリーナ? どうかしたのか?」
「え?」
ルルメリーナの様子がおかしいことを、アデルバは気付いていた。
先日、使用人であるノルードに対して言葉をかけてから、彼女は不機嫌になっている。それにアデルバは、少し焦っていた。
「先日から君は、なんだか刺々しい態度だと思ったんだ。何かあったのだろうか?」
「えっとぉ、何もありませんよ」
「……そういえば、あの使用人はどうしたんだ? 最近は一緒じゃないな?」
そこでアデルバは、ルルメリーナに何時もついているノルードがいないことを指摘した。
アデルバが言葉をかけてから、彼は執務室に姿を現さなくなった。それは考えてみれば、おかしなことだったのだ。
別にアデルバは、そのような指示を出した訳ではない。となると、ノルードが勝手に判断したか、ルルメリーナが命じているということになる。
しかしそれは、何のための措置なのだろうか。もちろん、一度小言は言ったがそれは傍に着くのを控える程のことではない。そう思ったアデルバは、少し嫌な予感がしていた。
「ルルメリーナ、君はまさかあの使用人と特別な関係にあるとかではないだろうな?」
「特別な関係、ですかぁ?」
「あの男に僕が小言を言ったことで、あいつを庇おうという訳か? ふざけるなよ。僕はそんなことは認めないぞ!」
「なんですかぁ? 急に……」
アデルバの言葉に、ルルメリーナは明らかに引いていた。
その様に彼は、自身の間違いを悟る。別に二人は、特別な関係という訳ではないのだ。
もちろん、長年仕えているため親密ではあるのかもしれない。それはアデルバにとって気に食わないことではあるが、ぎりぎり許容できることではある。少なくとも、特別な関係にあるよりはマシだ。
「いや、すまない。少し冷静ではなかった。どうか許してくれ」
「うーん……」
「ルルメリーナ?」
謝罪の言葉をかけても、ルルメリーナは少し腑に落ちないというような顔をしていた。
それにアデルバは、かなり焦ることになった。このまま嫌われてしまうことは、彼にとって避けたいことだったのだ。
「悪かった。どうか許してくれ……そうだ。君が欲しい物を何でもあげよう。それで手打ちとしてくれないか?」
「え? なんでも、ですか?」
「ああ、なんでもだ」
アデルバの言葉に、ルルメリーナは笑顔を浮かべた。
その反応に、アデルバの気分は高揚した。これで仲直りができると、彼の胸は期待で膨らんだ。
「それなら、アデルバ様の最も大切なものをいただけますかぁ?」
「大切なもの?」
「それで私と、お約束しませんかぁ?」
ルルメリーナの言っていることに、アデルバは一瞬怯むことになった。
しかし彼は、細かいことなどすぐに忘れることになった。ルルメリーナの可愛らしい笑みに、彼の中からは難しい考えなど消え去ってしまったのだ。
「え?」
ルルメリーナの様子がおかしいことを、アデルバは気付いていた。
先日、使用人であるノルードに対して言葉をかけてから、彼女は不機嫌になっている。それにアデルバは、少し焦っていた。
「先日から君は、なんだか刺々しい態度だと思ったんだ。何かあったのだろうか?」
「えっとぉ、何もありませんよ」
「……そういえば、あの使用人はどうしたんだ? 最近は一緒じゃないな?」
そこでアデルバは、ルルメリーナに何時もついているノルードがいないことを指摘した。
アデルバが言葉をかけてから、彼は執務室に姿を現さなくなった。それは考えてみれば、おかしなことだったのだ。
別にアデルバは、そのような指示を出した訳ではない。となると、ノルードが勝手に判断したか、ルルメリーナが命じているということになる。
しかしそれは、何のための措置なのだろうか。もちろん、一度小言は言ったがそれは傍に着くのを控える程のことではない。そう思ったアデルバは、少し嫌な予感がしていた。
「ルルメリーナ、君はまさかあの使用人と特別な関係にあるとかではないだろうな?」
「特別な関係、ですかぁ?」
「あの男に僕が小言を言ったことで、あいつを庇おうという訳か? ふざけるなよ。僕はそんなことは認めないぞ!」
「なんですかぁ? 急に……」
アデルバの言葉に、ルルメリーナは明らかに引いていた。
その様に彼は、自身の間違いを悟る。別に二人は、特別な関係という訳ではないのだ。
もちろん、長年仕えているため親密ではあるのかもしれない。それはアデルバにとって気に食わないことではあるが、ぎりぎり許容できることではある。少なくとも、特別な関係にあるよりはマシだ。
「いや、すまない。少し冷静ではなかった。どうか許してくれ」
「うーん……」
「ルルメリーナ?」
謝罪の言葉をかけても、ルルメリーナは少し腑に落ちないというような顔をしていた。
それにアデルバは、かなり焦ることになった。このまま嫌われてしまうことは、彼にとって避けたいことだったのだ。
「悪かった。どうか許してくれ……そうだ。君が欲しい物を何でもあげよう。それで手打ちとしてくれないか?」
「え? なんでも、ですか?」
「ああ、なんでもだ」
アデルバの言葉に、ルルメリーナは笑顔を浮かべた。
その反応に、アデルバの気分は高揚した。これで仲直りができると、彼の胸は期待で膨らんだ。
「それなら、アデルバ様の最も大切なものをいただけますかぁ?」
「大切なもの?」
「それで私と、お約束しませんかぁ?」
ルルメリーナの言っていることに、アデルバは一瞬怯むことになった。
しかし彼は、細かいことなどすぐに忘れることになった。ルルメリーナの可愛らしい笑みに、彼の中からは難しい考えなど消え去ってしまったのだ。