顔が良い妹の方が相応しいと婚約破棄したではありませんか。妹が無能だったなんて私の知ったことではありません。
51.国王との対話
お父様から頼まれたのは、王城に赴くことだった。国王様から呼び出されたイルヴァド様に、同行して欲しいと言われたのである。
国の頂点に立つ人からの呼び出し、それは当然大事だ。流石のイルヴァド様も、それには緊張しているようだった。それを支えるのが、私の役目といった所だろうか。
「いやはや、よくぞ来てくれた。イルヴァド、君のことは聞いている。いや正確にいえば、ウェディバー伯爵家のことだといえるか」
国王様は、思っていたよりも軽薄な口調でイルヴァド様に言葉をかけていた。
それはきっと、色々と辛い立場にあるイルヴァド様を気遣ってのことだろう。国王様は、寛大な人だと聞いている。
「まあ、まずは顔をあげてくれ。今はその顔をよく見ておきたい所だ」
「……はい」
「……なるほど、父親によく似ている。君がオルデンの息子であるということは、間違いないことのようだな」
国王様は、イルヴァド様の顔をじっくりと見ていた。
オルデン様の面影は、確かにイルヴァド様にはあるといえる。そっくりという程ではないが、確かな血が読み取れるだろう。
とはいえ、そういった言葉をかけられていい気はしないはずだ。イルヴァド様は、大丈夫だろうか。
「気を悪くしないでもらいたい。これでも、色々と確信を得ておかなければならないのだ。君の立場は、わかっていると思うが複雑だ。ウェディバー伯爵家を存続させるためには、君が確かにオルデンの血を引いているというお墨付きを与えておきたい」
「もちろんわかっています。国王様のお心遣いには、感謝します」
「感謝などは必要ないことだ。正直に言ってしまえば、ウェディバー伯爵家に倒れてもらっては困る。没落などは私にとっても面倒なことなのだよ」
国王様は、苦笑いを浮かべていた。
国を管理する者として、伯爵家の没落は当然嬉しいことではないのだろう。その表情からは、それが良く伝わってきた。
だからこそ、国王様はお父様やイルヴァド様からの要望を受け入れたのだろう。イルヴァド様を新たなウェディバー伯爵にするということに、国王様は同意してくれているのだ。
「君がウェディバー伯爵になってくれるというなら、こちらとしても大変ありがたいことだ。当然、バックアップはしよう。ただそのためには、君の母親と兄を追い詰めなければならない。今回の件の全ての非を、二人は被ってもらわなければならないからね」
「理解しています。そもそもの話、あの二人は多くの人を欺きました。その罰を受けるのは、当然のことだと思います」
国王様もイルヴァド様も、とても冷たい目をしていた。
アデルバ様とカルメア様は、結果として国王様にも目をつけられることになった。それはきっと、私もイルヴァド様も予想していなかったことだ。
もっとも、私からしてみれば同情の気持ちは湧いてこない。二人は随分と好き勝手してきた。その報いは、決して安いものではないということだろう。
国の頂点に立つ人からの呼び出し、それは当然大事だ。流石のイルヴァド様も、それには緊張しているようだった。それを支えるのが、私の役目といった所だろうか。
「いやはや、よくぞ来てくれた。イルヴァド、君のことは聞いている。いや正確にいえば、ウェディバー伯爵家のことだといえるか」
国王様は、思っていたよりも軽薄な口調でイルヴァド様に言葉をかけていた。
それはきっと、色々と辛い立場にあるイルヴァド様を気遣ってのことだろう。国王様は、寛大な人だと聞いている。
「まあ、まずは顔をあげてくれ。今はその顔をよく見ておきたい所だ」
「……はい」
「……なるほど、父親によく似ている。君がオルデンの息子であるということは、間違いないことのようだな」
国王様は、イルヴァド様の顔をじっくりと見ていた。
オルデン様の面影は、確かにイルヴァド様にはあるといえる。そっくりという程ではないが、確かな血が読み取れるだろう。
とはいえ、そういった言葉をかけられていい気はしないはずだ。イルヴァド様は、大丈夫だろうか。
「気を悪くしないでもらいたい。これでも、色々と確信を得ておかなければならないのだ。君の立場は、わかっていると思うが複雑だ。ウェディバー伯爵家を存続させるためには、君が確かにオルデンの血を引いているというお墨付きを与えておきたい」
「もちろんわかっています。国王様のお心遣いには、感謝します」
「感謝などは必要ないことだ。正直に言ってしまえば、ウェディバー伯爵家に倒れてもらっては困る。没落などは私にとっても面倒なことなのだよ」
国王様は、苦笑いを浮かべていた。
国を管理する者として、伯爵家の没落は当然嬉しいことではないのだろう。その表情からは、それが良く伝わってきた。
だからこそ、国王様はお父様やイルヴァド様からの要望を受け入れたのだろう。イルヴァド様を新たなウェディバー伯爵にするということに、国王様は同意してくれているのだ。
「君がウェディバー伯爵になってくれるというなら、こちらとしても大変ありがたいことだ。当然、バックアップはしよう。ただそのためには、君の母親と兄を追い詰めなければならない。今回の件の全ての非を、二人は被ってもらわなければならないからね」
「理解しています。そもそもの話、あの二人は多くの人を欺きました。その罰を受けるのは、当然のことだと思います」
国王様もイルヴァド様も、とても冷たい目をしていた。
アデルバ様とカルメア様は、結果として国王様にも目をつけられることになった。それはきっと、私もイルヴァド様も予想していなかったことだ。
もっとも、私からしてみれば同情の気持ちは湧いてこない。二人は随分と好き勝手してきた。その報いは、決して安いものではないということだろう。