顔が良い妹の方が相応しいと婚約破棄したではありませんか。妹が無能だったなんて私の知ったことではありません。
68.それぞれの反応
私とイルヴァド様の婚約は、無事に決まった。
私はその報告を両親やお兄様にするために、ラスタリア伯爵家に帰って来ている。
ちなみにルルメリーナは、ウェディバー伯爵家に滞在中だ。きっとあちらの家で、寛いでいることだろう。
「まあ、無事に婚約が決まって良かったよ。あまり心配はしていなかったけれどね」
「そうなのですか?」
「イルヴァドと一番相性が良いのは君だからね。何があったとしても、丸く収めてくれると信じていたんだ」
お父様は、私に対して笑顔を向けてきた。
そこまで信頼してもらっていたのは、普通に嬉しい。
ただそれよりも嬉しいのは、相性が良いと思われていることだ。
自分でもその自負は少なからずあったが、お父様からのお墨付きをもらえるとさらに自信が出てくる。
私とイルヴァド様なら、きっと良きウェディバー伯爵夫妻になるのではないか。そんなことを思って、私はつい笑顔を浮かべてしまう。
「お母様やお兄様も、そのように思ってくださっていたんですか?」
「ええ、私も大体は同じ意見かしら。まあでも、今回はなんというか、イルヴァドらしいことを言っていたみたいね」
「ああ、そうなんですよ。本当にイルヴァド様は気遣いの人でして……」
「そういう固い所は、オルデンによく似ているかもしれないわね?」
「そういえばそうかもしれないね」
お母様は、昔を懐かしむような目をしていた。
お父様にとって親友だったオルデン様は、お母様にとっても馴染み深い人である。今は亡き彼に、夫婦揃って思いを馳せているようだ。
そういうことをされると、私も少し感傷に浸ってしまう。オルデン様は、私達のことを見守ってくれているだろうか。
「あの、お兄様はどう思われているのですか?」
「うん?」
「先程から、視線が少し痛いのですが……」
そこで私は、お兄様に問いかけてみた。
すると鋭い視線が返ってくる。その視線の理由は、実の所わからない訳ではない。
「やはりお兄様は、私の婚約に反対なのでしょうか?」
「いや、異論があるという訳ではない。イルヴァドのことは、俺もよく知っているからな」
「本当ですか?」
「俺がお前に嘘をつくはずはないだろう。俺はこの婚約を祝福している。ただ、それでも納得でいないものがあるというだけだ」
お兄様は、私やルルメリーナのこととなるとおかしくなる。妹思いな人なのだ。
ただイルヴァド様のことは、認めてはいるのだろう。
その二つの感情が重なり合って、このよくわからない反応をしているようだ。まあ祝福してくれているのは嘘ではないだろうし、ここは素直にその言葉を受け止めておこう。
私はその報告を両親やお兄様にするために、ラスタリア伯爵家に帰って来ている。
ちなみにルルメリーナは、ウェディバー伯爵家に滞在中だ。きっとあちらの家で、寛いでいることだろう。
「まあ、無事に婚約が決まって良かったよ。あまり心配はしていなかったけれどね」
「そうなのですか?」
「イルヴァドと一番相性が良いのは君だからね。何があったとしても、丸く収めてくれると信じていたんだ」
お父様は、私に対して笑顔を向けてきた。
そこまで信頼してもらっていたのは、普通に嬉しい。
ただそれよりも嬉しいのは、相性が良いと思われていることだ。
自分でもその自負は少なからずあったが、お父様からのお墨付きをもらえるとさらに自信が出てくる。
私とイルヴァド様なら、きっと良きウェディバー伯爵夫妻になるのではないか。そんなことを思って、私はつい笑顔を浮かべてしまう。
「お母様やお兄様も、そのように思ってくださっていたんですか?」
「ええ、私も大体は同じ意見かしら。まあでも、今回はなんというか、イルヴァドらしいことを言っていたみたいね」
「ああ、そうなんですよ。本当にイルヴァド様は気遣いの人でして……」
「そういう固い所は、オルデンによく似ているかもしれないわね?」
「そういえばそうかもしれないね」
お母様は、昔を懐かしむような目をしていた。
お父様にとって親友だったオルデン様は、お母様にとっても馴染み深い人である。今は亡き彼に、夫婦揃って思いを馳せているようだ。
そういうことをされると、私も少し感傷に浸ってしまう。オルデン様は、私達のことを見守ってくれているだろうか。
「あの、お兄様はどう思われているのですか?」
「うん?」
「先程から、視線が少し痛いのですが……」
そこで私は、お兄様に問いかけてみた。
すると鋭い視線が返ってくる。その視線の理由は、実の所わからない訳ではない。
「やはりお兄様は、私の婚約に反対なのでしょうか?」
「いや、異論があるという訳ではない。イルヴァドのことは、俺もよく知っているからな」
「本当ですか?」
「俺がお前に嘘をつくはずはないだろう。俺はこの婚約を祝福している。ただ、それでも納得でいないものがあるというだけだ」
お兄様は、私やルルメリーナのこととなるとおかしくなる。妹思いな人なのだ。
ただイルヴァド様のことは、認めてはいるのだろう。
その二つの感情が重なり合って、このよくわからない反応をしているようだ。まあ祝福してくれているのは嘘ではないだろうし、ここは素直にその言葉を受け止めておこう。