顔が良い妹の方が相応しいと婚約破棄したではありませんか。妹が無能だったなんて私の知ったことではありません。
75.再び訪ねて
私は、再度ウェディバー伯爵家を訪ねていた。
ルルメリーナが中々帰って来ないので、迎えに来たのだ。
もっとも、別に私が直接行く必要があるという訳ではない。ただ私は、イルヴァド様の顔を見たくなったのである。
「すみませんね。ルルメリーナが迷惑をかけてしまって」
「いえ、迷惑なんてことはありませんよ。ルルメリーナ嬢がいると、屋敷が明るくなるって使用人達にも評判なんです。まあ、僕一人だと辛気臭いでしょうからね」
「そんなことはないと思いますけれど」
ルルメリーナは、ウェディバー伯爵家の使用人達にかなり人気なようだった。
使用人の方々も、きっと今回の事件で傷ついていたのだろう。そんな中でそこはかとなく明るいルルメリーナという存在は、良いものなのかもしれない。
そもそもウェディバー伯爵家を追い詰めたのはルルメリーナではあるが、使用人達はその辺りのことは気にしていないようだ。まあ雇われの身であるし、その辺は割り切れているということだろうか。
いやそもそも、あの二人が使用人達をどのように扱っていたかはわからない。横暴な態度だったりした可能性もある。
それならルルメリーナを拒絶する理由はない。まあそのことについて、後々聞いてみることにしよう。
「ルルメリーナは、どのような様子なんですか?」
「それが実の所、悩んでいるようなのです」
「悩む? あのルルメリーナが、ですか?」
イルヴァド様の言葉に、私は少し驚いてしまった。
ルルメリーナが悩んでいるなんて、思ってもないことだったからだ。
それが本人に対して、いささか失礼なことであるということはわかっている。だが、私は驚きを隠せないでいた。
「ええ、将来のこと――婚約のことについて悩んでいるようです。漠然とした不安を抱いているという感じでしょうか?」
「婚約、ですか……なるほど、それはまあ、ルルメリーナも向き合わなければならないことではありますね」
「僕とリフェリナ嬢の婚約の話を聞いて、考えるようにあったようで……」
「ああ、そういえばそうですね。目の前であんな会話をしてしまいましたし」
イルヴァド様の説明によって、私は事態を理解することができた。
ルルメリーナだって、年頃の女の子である。そんな彼女が、私とイルヴァドの婚約の話を間近で聞いていたのだから、意識くらいはするものかもしれない。
ただ確実に、ルルメリーナは今までそのようなことを考えてはこなかった。初めて考えるそのことに、かなり戸惑っているかもしれない。
ルルメリーナが中々帰って来ないので、迎えに来たのだ。
もっとも、別に私が直接行く必要があるという訳ではない。ただ私は、イルヴァド様の顔を見たくなったのである。
「すみませんね。ルルメリーナが迷惑をかけてしまって」
「いえ、迷惑なんてことはありませんよ。ルルメリーナ嬢がいると、屋敷が明るくなるって使用人達にも評判なんです。まあ、僕一人だと辛気臭いでしょうからね」
「そんなことはないと思いますけれど」
ルルメリーナは、ウェディバー伯爵家の使用人達にかなり人気なようだった。
使用人の方々も、きっと今回の事件で傷ついていたのだろう。そんな中でそこはかとなく明るいルルメリーナという存在は、良いものなのかもしれない。
そもそもウェディバー伯爵家を追い詰めたのはルルメリーナではあるが、使用人達はその辺りのことは気にしていないようだ。まあ雇われの身であるし、その辺は割り切れているということだろうか。
いやそもそも、あの二人が使用人達をどのように扱っていたかはわからない。横暴な態度だったりした可能性もある。
それならルルメリーナを拒絶する理由はない。まあそのことについて、後々聞いてみることにしよう。
「ルルメリーナは、どのような様子なんですか?」
「それが実の所、悩んでいるようなのです」
「悩む? あのルルメリーナが、ですか?」
イルヴァド様の言葉に、私は少し驚いてしまった。
ルルメリーナが悩んでいるなんて、思ってもないことだったからだ。
それが本人に対して、いささか失礼なことであるということはわかっている。だが、私は驚きを隠せないでいた。
「ええ、将来のこと――婚約のことについて悩んでいるようです。漠然とした不安を抱いているという感じでしょうか?」
「婚約、ですか……なるほど、それはまあ、ルルメリーナも向き合わなければならないことではありますね」
「僕とリフェリナ嬢の婚約の話を聞いて、考えるようにあったようで……」
「ああ、そういえばそうですね。目の前であんな会話をしてしまいましたし」
イルヴァド様の説明によって、私は事態を理解することができた。
ルルメリーナだって、年頃の女の子である。そんな彼女が、私とイルヴァドの婚約の話を間近で聞いていたのだから、意識くらいはするものかもしれない。
ただ確実に、ルルメリーナは今までそのようなことを考えてはこなかった。初めて考えるそのことに、かなり戸惑っているかもしれない。