野獣と噂の王太子と偽りの妃
順風満帆な日々の中、おめでたいことがもう一つ。

レイチェルがサミュエルと結婚したのだ。

式は挙げずに婚姻届だけ提出するという二人に、マルクスとプリムローズは、教会での挙式を提案した。

王太子ご夫妻に列席していただくなど、そんな恐れ多いことはできないと言う二人に、シルベーヌの教会なら誰もそんなことは気にしないからと、マルクスはプリムローズと列席することを決めた。

そして迎えた結婚式。

プリムローズは、自分の時のお返しとばかりに、レイチェルの支度を手伝い、ベールを持って介添えをする。

祭壇で向かい合った二人は微笑みながら見つめ合い、サミュエルはそっとレイチェルにキスをした。

神聖で心震える瞬間に立ち会い、プリムローズは感動して涙を溢れさせる。

マルクスはそんなプリムローズの肩を抱き、優しく微笑んでいた。
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