野獣と噂の王太子と偽りの妃
幸せな日々が続く。

「マルクス様、搾りたてのオレンジジュースをどうぞ」
「ありがとう、プリムローズ。毎朝こんなに新鮮で美味しいオレンジジュースが味わえるなんて、ものすごく贅沢だな」
「ふふっ、本当に」

シルベーヌ国王が改装してくれた宮殿は、どこもかしこもピカピカで真新しく、大きな窓からは明るい陽の光が射し込む。

プリムローズは、レイチェルやサミュエル、そしてマルクスの四人で暮らす毎日に、ただ幸せと喜びを感じていた。

八月になる頃には、カルディナからシルベーヌに移住する人も増えてきた。

レイチェルとサミュエルは、彼らの事務手続きや新生活のサポートに忙しく、マルクスもプリムローズと一緒に、毎日アンディとオランジェに乗って人々の様子を見て回っていた。

シルベーヌとカルディナの絆は確固たるものになり、マルクスがすぐに国境に駆けつけられるようになったこともあって、ギルガ王国からの侵略も一気に沈下し、国内に潜んでいた刺客も引き揚げていった。
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