野獣と噂の王太子と偽りの妃
突然の言葉
「プリムローズ様!」
「レイチェル!」

屋敷のエントランスに着くと、レイチェルは目を真っ赤に泣き腫らしてプリムローズに抱きつく。

「おケガはありませんか?ご無事ですか?」
「ええ、どこも大丈夫よ」
「ああ、よかった。本当によかった。申し訳ありません。わたくしがそばについていなかったせいで、プリムローズ様をこんな危険な目に…」
「ううん。レイチェルは何も悪くないわ。心配かけてしまってごめんなさいね」
「そんな、わたくしのことなどよろしいのです。プリムローズ様…。もう二度とこのようなことがないよう、わたくしがこの身をかけてプリムローズ様をお守りしますわ」
「レイチェル…」

ずっと抱き合ったままの二人を、サミュエルが中に促した。

「さあ、外は寒いので早く中へ」
「はっ!そうですわね。プリムローズ様、お湯を沸かしてありますわ。早く温まってくださいませ」
「ええ、ありがとう。レイチェル」

プリムローズは微笑んで、レイチェルと一緒に屋敷に入った。
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