野獣と噂の王太子と偽りの妃
ディナー
「プリムローズ様。国王陛下が、今夜のディナーはプリムローズ様とご一緒したいと仰せです。いかがでしょうか?」

部屋に戻ると侍女がやって来て尋ねた。

「え?陛下が、わたくしをディナーに?」
「はい。王妃陛下、カルロス王太子殿下もご一緒です」

ひえー!とプリムローズは思わず仰け反る。

「そ、そんな、考えただけでも緊張いたします」
「ではお断りになりますか?」
「いえいえ!そんな大それたことはできません。謹んでお伺いいたします」
「かしこまりました。ディナーは十九時からですので、十八時にお支度を整えにまいりますわね」
「は、はい。よろしくお願いいたします」
「ではのちほど」

侍女が出て行くと、プリムローズはそわそわしながら部屋の中を行ったり来たりする。

国王に会うのは、ここに連れて来られた時以来だった。

「国王陛下だけならまだしも、王妃陛下とカルロス王太子殿下もご一緒だなんて。お二人には初めてお目にかかるわ。あー、どうしよう。テーブルマナーとか、大丈夫かしら?」

十八時に侍女が来るまで、プリムローズはひたすら緊張しながら、部屋をうろうろと歩き回っていた。
< 59 / 114 >

この作品をシェア

pagetop