野獣と噂の王太子と偽りの妃
(わあ、なんて豪華なの)

きらびやかでゴージャスな広間は、華やかな装いのゲストで溢れ、優雅な音楽と共に軽やかに踊っているペアもいた。

「まずは父上達に挨拶に行こうか」
「はい」

カルロスにエスコートされて、プリムローズは国王と王妃のもとへ行く。

「国王陛下、王妃陛下におかれましては、ご機嫌麗しく。このように素晴らしいパーティーにお招きいただき、光栄に存じます」
「おお!これは見違えたな、プリムローズ」
「あら、カルロスともお似合いじゃない」

タキシードを着こなしたカルロスと、マリーゴールドのドレスをまとったプリムローズを見て、国王と王妃は目尻を下げる。

「いつの間に仲良くなったの?」
「いえ、あの。そういう訳では。恐れ多くも王太子殿下は、わたくしをエスコートしてくださっているだけです」
「あら。じゃあ今夜ひと晩、ゆっくりと語らえばいいわ」

そう言うと、国王と王妃は腕を組んで、また別のゲストのところへ移動した。
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