野獣と噂の王太子と偽りの妃
「あの、王太子殿下。ありがとうございました。もうここで結構です」
プリムローズが手を離そうとすると、カルロスはその手を掴んでふいに尋ねた。
「君、ダンスは?」
「は?」
「伯爵令嬢なら踊れるよね」
そう言うとプリムローズの手を取ったまま広間の中央に進む。
「え、あの、殿下?」
踊っていた人達が、カルロスとプリムローズに気づいて場を譲った。
カルロスはスッとプリムローズの手を導いて、正面から向かい合う。
右手を胸に当ててお辞儀をするカルロスに、プリムローズも慌ててスカートをつまんで膝を曲げた。
カルロスがグッと大きく一歩踏み出し、プリムローズの腰を抱き寄せる。
そのままもう片方の手を握って、二人はワルツを踊り出した。
まあ…と、見ているゲスト達が感嘆のため息をもらす。
(ダンスなんて、久しぶり。でもさすがは王太子殿下。リードがお上手だわ)
最初は戸惑っていたプリムローズも、踊る楽しさにだんだん笑顔になる。
「へえ…。君、なかなかうまいね」
「とんでもない。殿下がお上手なだけです」
「そう?じゃあ俺達、息が合うのかな。踊りやすいよ」
なんと答えればいいのか分からず、プリムローズはうつむく。
「頬が赤くなった。照れてるの?」
踊りながら顔を覗き込まれて、プリムローズは思わず身を引く。
「ち、違います!」
足を止めると、カルロスは更にプリムローズを強く抱き寄せてステップを踏む。
カルロスの足を踏みそうになり、プリムローズは慌ててまた踊り始めた。
いつしか周りの人達は二人にうっとりと見惚れ、皆の注目の中、カルロスとプリムローズだけが軽やかに踊り続けていた。
プリムローズが手を離そうとすると、カルロスはその手を掴んでふいに尋ねた。
「君、ダンスは?」
「は?」
「伯爵令嬢なら踊れるよね」
そう言うとプリムローズの手を取ったまま広間の中央に進む。
「え、あの、殿下?」
踊っていた人達が、カルロスとプリムローズに気づいて場を譲った。
カルロスはスッとプリムローズの手を導いて、正面から向かい合う。
右手を胸に当ててお辞儀をするカルロスに、プリムローズも慌ててスカートをつまんで膝を曲げた。
カルロスがグッと大きく一歩踏み出し、プリムローズの腰を抱き寄せる。
そのままもう片方の手を握って、二人はワルツを踊り出した。
まあ…と、見ているゲスト達が感嘆のため息をもらす。
(ダンスなんて、久しぶり。でもさすがは王太子殿下。リードがお上手だわ)
最初は戸惑っていたプリムローズも、踊る楽しさにだんだん笑顔になる。
「へえ…。君、なかなかうまいね」
「とんでもない。殿下がお上手なだけです」
「そう?じゃあ俺達、息が合うのかな。踊りやすいよ」
なんと答えればいいのか分からず、プリムローズはうつむく。
「頬が赤くなった。照れてるの?」
踊りながら顔を覗き込まれて、プリムローズは思わず身を引く。
「ち、違います!」
足を止めると、カルロスは更にプリムローズを強く抱き寄せてステップを踏む。
カルロスの足を踏みそうになり、プリムローズは慌ててまた踊り始めた。
いつしか周りの人達は二人にうっとりと見惚れ、皆の注目の中、カルロスとプリムローズだけが軽やかに踊り続けていた。