野獣と噂の王太子と偽りの妃
キョトン…というのが、今のプリムローズの表情に一番ふさわしい言葉だろう。

会って一分後に性格の不一致とは?
一目惚れならぬ、一目振りだろうか。

何かのご冗談?ここは笑うところ?と、プリムローズは眉根を寄せる。

(まあ!お上手ですこと。おほほ!とか、言うべきなのかしら?)

真剣に考えるが、そんな雰囲気でもない。

「いつまで突っ立っているつもりだ?話は終わった。サミュエル!」
「はっ!」

先程ドアを開けてくれた青年が、王太子のすぐ近くで姿勢を正す。

「視察に行くぞ。すぐに出発だ」
「はい!」

立ち上がった王太子は大きなストライドでプリムローズの横を通り過ぎると、サミュエルが開けたドアから部屋を出ていった。
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