野獣と噂の王太子と偽りの妃
どれくらいそうしていたのだろう。
マルクスはようやく、のろのろとカーテンの陰から離れて歩き出す。
父である国王に声をかけられ、少し言葉を交わしたが、何を話したのかは定かではない。
勧められるままシャンパンを飲み、王妃や他のゲストとも歓談したあと、早々に帰ることにした。
失礼いたしますと挨拶して回り、マルクスはエントランスの開け放たれた扉から外に出る。
アンディのもとへ向かうと、アンディは上を見上げて何やらそわそわしていた。
(どうしたんだ?)
つられて上を見上げたマルクスは、ん?と首をひねった。
(バルコニーに大きなオレンジがぶら下がっている?)
一瞬本気でそう思った。
(違うな。オレンジのマスコットキャラクターか?確か、オランジェちゃん。いや、違う。プリムローズだ!)
次の瞬間、マルクスは駆け出していた。
プリムローズが柵から手を滑らせて、その身体が宙を舞う。
「プリムローズ!」
懸命に手を伸ばし、プリムローズを受け止めた。
両手に感じるプリムローズの身体の温かさ。
マルクスはギュッとプリムローズを胸に抱きしめた。
マルクスはようやく、のろのろとカーテンの陰から離れて歩き出す。
父である国王に声をかけられ、少し言葉を交わしたが、何を話したのかは定かではない。
勧められるままシャンパンを飲み、王妃や他のゲストとも歓談したあと、早々に帰ることにした。
失礼いたしますと挨拶して回り、マルクスはエントランスの開け放たれた扉から外に出る。
アンディのもとへ向かうと、アンディは上を見上げて何やらそわそわしていた。
(どうしたんだ?)
つられて上を見上げたマルクスは、ん?と首をひねった。
(バルコニーに大きなオレンジがぶら下がっている?)
一瞬本気でそう思った。
(違うな。オレンジのマスコットキャラクターか?確か、オランジェちゃん。いや、違う。プリムローズだ!)
次の瞬間、マルクスは駆け出していた。
プリムローズが柵から手を滑らせて、その身体が宙を舞う。
「プリムローズ!」
懸命に手を伸ばし、プリムローズを受け止めた。
両手に感じるプリムローズの身体の温かさ。
マルクスはギュッとプリムローズを胸に抱きしめた。