野獣と噂の王太子と偽りの妃
素敵な誕生日
「プ、プリムローズ様?!」

屋敷のエントランスに出迎えに来たレイチェルとサミュエルは、驚きのあまり声を上げて固まる。

「ただいま!レイチェル、サミュエル」

嬉しそうに微笑むプリムローズに、ようやく二人の顔にも笑顔が広がった。

「プリムローズ様!よかった、またお会いできて。お元気でしたか?」
「ええ。でもみんなに会えなくて、とても寂しかったの」
「まあ…。わたくしもですわ」

するとマルクスがアンディから降りて口を開く。

「もうそんな思いはさせない。これからはずっと皆で一緒に暮らす」

…は?と、レイチェルもサミュエルも首を傾げた。

だが、マルクスがプリムローズをアンディから降ろし、両腕に抱いたまま歩き出すと、うひゃ?!と妙な声を上げて慌てふためく。

「サミュエル、アンディを頼む。レイチェル、部屋のドアを開けてくれ。靴が脱げたシンデレラを歩かせる訳にはいかない」
「ははははい!」

二人はバタバタと急いで身を翻した。
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