野獣と噂の王太子と偽りの妃
王太子の噂
「プリムローズ様。紅茶をどうぞ」
「ありがとうございます」
あのあと、とにかくお部屋にご案内いたしますとレイチェルに言われて、プリムローズは客室らしき部屋に通された。
ソファで紅茶を味わいながら、頭の中で考えをまとめる。
(えっと、さすがにこの展開は予想していなかったわ。どうにかしないと)
伯爵家に王太子妃候補を募る通達があったという話を、プリムローズはここに来る前にある程度調べてみた。
そして妙な噂が広がっていることに気づく。
あらゆる伯爵家にその通達があったことは事実で、既に何人もの伯爵令嬢が王太子に会いに向かったらしい。
だがその令嬢達の話では、王太子はまるで野獣のような恐ろしい風貌で、振る舞いも傍若無人。
ある令嬢は、王太子に暴力を振るわれて怪我を負い、口止め料として金貨を数枚握らされた、と話していた。
その噂は既にプリムローズの両親も知っていたらしく、だから父はこの話に乗り気でなかったのかとプリムローズは腑に落ちた。
(私が行けば、何人目の妃候補になるのかしら?)
まだ募集しているということは、未だ決めかねているのか、それとも一夫多妻で何人もの妃を娶るつもりなのか?
とにかく行ってみよう。
どんな状況でも、必ず切り抜いていこう。
そう思いながら、プリムローズは今日ここに赴いた。
「ありがとうございます」
あのあと、とにかくお部屋にご案内いたしますとレイチェルに言われて、プリムローズは客室らしき部屋に通された。
ソファで紅茶を味わいながら、頭の中で考えをまとめる。
(えっと、さすがにこの展開は予想していなかったわ。どうにかしないと)
伯爵家に王太子妃候補を募る通達があったという話を、プリムローズはここに来る前にある程度調べてみた。
そして妙な噂が広がっていることに気づく。
あらゆる伯爵家にその通達があったことは事実で、既に何人もの伯爵令嬢が王太子に会いに向かったらしい。
だがその令嬢達の話では、王太子はまるで野獣のような恐ろしい風貌で、振る舞いも傍若無人。
ある令嬢は、王太子に暴力を振るわれて怪我を負い、口止め料として金貨を数枚握らされた、と話していた。
その噂は既にプリムローズの両親も知っていたらしく、だから父はこの話に乗り気でなかったのかとプリムローズは腑に落ちた。
(私が行けば、何人目の妃候補になるのかしら?)
まだ募集しているということは、未だ決めかねているのか、それとも一夫多妻で何人もの妃を娶るつもりなのか?
とにかく行ってみよう。
どんな状況でも、必ず切り抜いていこう。
そう思いながら、プリムローズは今日ここに赴いた。