野獣と噂の王太子と偽りの妃
プリムローズの決意
「マルクス様！お帰りなさいませ」

屋敷のエントランスで、満面の笑みを浮かべながら出迎えてくれたプリムローズを、マルクスは強く胸に抱きしめる。

「ただいま、プリムローズ。会いたかった」
「わたくしもです。マルクス様、お疲れ様でした。ご無事で何よりです」

会えなかった時間を埋めるように、二人は互いの温もりを感じながら固く抱き合う。

ようやく身体を離すと、マルクスはプリムローズの頬に優しくキスをした。

プリムローズは頬を染めて、はにかみながら目を伏せる。

その可愛らしさに、マルクスはプリムローズを抱いた腕にギュッと力を込めて、熱く口づけようとする。

「マルクス様、あの、とにかく中へ」

プリムローズが慌てて両手でマルクスの胸を押し返し、マルクスは仕方なく諦めた。

「そうだな、夜は長い。まずはそなたの美味しいデザートを食べたい。作ってくれるか？」
「もちろんです。たくさんご用意いたしますわ」

二人で微笑み合うと、マルクスはプリムローズの肩を抱いて、久しぶりの屋敷に足を踏み入れた。
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