野獣と噂の王太子と偽りの妃
司教が神の教えを説き、皆で賛美歌を歌う。

(天国のお母様。私を生んで、ここまで導いてくださって、本当にありがとうございました。これからはマルクス様と共に歩んで行きます。どうか見守っていてね)

プリムローズは両手を組み、目を閉じて祈った。

顔を上げると、マルクスが優しくプリムローズに微笑んで頷く。

プリムローズも微笑んで頷き返した。

二人は向かい合うと、誓いの言葉を述べて指輪を交換する。

そしてマルクスは、そっとプリムローズのベールを上げた。

「プリムローズ…。息を呑むほど美しい」

その言葉に、プリムローズはまた赤くなって視線を落とす。

「プリムローズ。そなたを愛し、そなたを守り、一生そなたを幸せにしてみせる」

マルクス様…と、プリムローズはおずおずと顔を上げた。

「わたくしも。あなたを愛し、あなたを支え、一生あなたと共に幸せになります」
「ああ。幸せになろう、プリムローズ」
「はい、マルクス様」

笑顔で見つめ合うと、マルクスはそっとプリムローズの肩を抱き寄せ、愛を込めてキスをする。

両家の家族、レイチェルとサミュエルに見守られながら、二人は晴れて、カルディナ王国王太子夫妻となった。
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