桐生さんのお世話係?
グイッ!!



「!?」



突然、本当に突然後ろから肩を掴まれた。



危なく大きな声を上げて珊瑚を起こすとこだった。



何!?



てか、誰!?



桐生さんと丹波さんは前を歩いているから違う。



振り返るとそこには、お隣さんが居た。



親しくはない。


顔を合わせば挨拶をする程度。


年齢は二十歳くらいだろうか?



そういえば昨日も声をかけられたな。



色々いっぱいいっぱいで何を話したか覚えていないけれど。



「……あの?」



何か?


無言で肩を掴まれた無礼は流して聞く。



表情が厳しいのは許していただきたい。


イラっとしたから。



「君が払う必要なんかない」


「……え?」



後ろで足音が止まる。


私が付いてきてないことに桐生さん達が気付いたみたい。



「逃げよう。一緒に逃げてあげる」



真剣な表情で言ってくる男の人。



「……は?」



逃げる?


一緒に逃げて“あげる”?



「ほら早く!!アイツらが戻ってくる前に!!」



何この人……


誰、この人……


てか、すんごい上から目線だね。



「早く!!」



焦る男の人。


動かない私。


そのうち桐生さん達が戻ってきた。



「なんだぁ?お前?」



丹波さんが怖い表情でこっちに来ようとする。


が、それを無言で桐生さんが止めた。



「桐生さん?」


「……」



丹波さんの戸惑う声。



「アンタ達わかってんのか?こっこの子は16だぞ?」


「だからなんだ」



冷たい声で桐生さんが聞き返す。



「借金は母親から取り立てろよ。この子は見逃してやってくれ。そうしたら16歳を風俗で働かせようとしてるとか警察にも言わないからっ」


「……」


「……えっと」
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